記述式によく出てくる条文(不動産登記法)

記述式によく出てくる条文(不動産登記法)

問題を解いている最中によく出てくる条文。知っていることを前提に解答が書かれいると、何のことかぼんやりとしか分からないままになってしまうことも多いので、ざっくりまとめを。

登録免許税法第5条

登録免許税法第5条の各号には、登録免許税が非課税になる場面が記載されています。
4号:登記記録上の住所が住居表示の実施によって変更になった場合
5号:登記記録上の住所が行政区画の変更等によって変更になった場合

登録免許税法第13条第2項

共同抵当権の追加設定の場合の減税根拠となる条文です。同一管轄内の場合は、登記証明書は不要で、不動産の個数1個につき登録免許税は1,500円になります。異なる管轄の場合は、登記証明書の添付が必要になります。
登記証明書は、この登記が共同抵当の最初の申請ではない、という事を証明するために必要です。同一管轄なら、前の登記を確認出来るので当然不要ということですね。

法74条(不動産登記法)

前提として、不動産登記法74条は、所有権保存の登記に関する条文です。所有権保存登記を誰が申請出来るのか、という話です。申請人が限定されているために、法74条のいずれの者にあたるかが申請情報の内容となります。よって所有権保存登記の時には必須ですが、その他のケースでは姿を見せません。

所有権保存登記は、登記原因と日付が登記事項にならないため、登記原因証明情報が添付情報になりません。単独申請が許されているので、権利者・義務者も登場せず、登場するのは「所有者」です。

表題部所有者本人からの申請は、所有者であることが登記記録上明らかなので、添付情報は住所証明情報、その他のパタンでは所有権証明情報が添付情報となります。

法74条1項1号申請

法74条1項には、所有権の保存登記の申請が出来る人について書かれています。
1号:表題部所有者・その相続人・その他一般承継人
表題部所有者本人からの申請や、表題部所有者が死亡して、相続人が所有権保存登記をする場合は、法74条1項1号申請です。
表題部所有者本人の申請なら住所証明情報、その他の場合は所有権証明情報が添付情報になります。
一般承継人は、包括承継人と同じ意味です。だったら用語はひとつにしてくれればいいものを・・・でも「その他一般承継人」とするのは、自然人の相続以外に法人のケースがあるからか。

法74条1項2号申請

2号:所有権を有することが確定判決で確認された者
「確定判決」が、何を意味するかが問題になりますが、和解調書・調停調書も含まれます。そして、所有権の存在が認められていれば、給付・確定・形成判決のいずれでも良く、判決理由中でもOKです。確定判決についての承継執行文を受けた者も申請できます。
このパタンは所有権証明情報として確定証明書付きの判決正本等の添付を要します。

因みに3号はあまり試験には登場しないようですが、収用によって所有権を取得した者です。

法74条2項申請

法74条2項は、区分建物の保存登記の申請について、表題部所有者から直接所有権を取得した者も申請出来る、としています。
法74条1項の所有権保存の登記は、原因・日付は登記せず、登記原因証明情報も不要ですが、このパタンは原因・日付が登記事項になります。登記原因証明情報として売買等を証する情報を提供します。またこの登記の実質は、敷地権移転の効力を有するため、敷地権の登記名義人の承諾情報も要します。

区分建物を法74条1項によって登記できないのか?と考えたところ、法74条1項では建物の専有部分しか申請できないため、後で敷地権の移転登記が困難になります。