旧商法絵では、「破産手続開始ノ決定ヲ受ケ復権セサル者」は取締役になれませんでした。つまり、破産手続開始の決定は取締役の欠格事由だったので、当然代表取締役(社長)にもなれませんでした。(この「復権」というのが、また馴染みのない言葉ですが、これは別の機会に譲ります。要するに、権利を回復することと理解して良いかと思いますが、実はいろいろな形の「復権」があります)条文からわかるように、自己破産開始決定があっても復権していれば取締役になることができました。
平成18年の会社法施行により、この条文は削除され、自己破産開始決定は取締役の欠格事由ではなくなりました。ですから、取締役になることができます。
が、現に代表取締役や取締役の地位についている人が破産した場合は、一度「退任」しなければなりません。「破産開始決定を受けて復権していない者」でも取締役になれるのになぜか?
それは、民法653条(委任の終了事由)2項「委任者または受任者が破産手続開始の決定を受けたこと。」にあります。会社の役員と会社は委任関係にあります。ですから、破産手続きの開始決定を受けると委任が終了し、一度は「退任」しなければならないのです。なんだかちょっと腑に落ちない気もしますが・・・
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