他人物売買は、買主が悪意の場合、契約解除はできますが、損害賠償はできない、というのが基本です。
私のような早とちりな人間は、上記を覚えると、問題文に「悪意の買主」+「損賠賠償」=できない!と決めつけてしまいます。が、ここに一点落とし穴があるのです・・(私はこの穴にいつも落ちてしまいます)
原則できないとする損害賠償は「民法561条」に基づく損害賠償を指しています。
(他人の権利の売買における売主の担保責任)
第561条
前条の場合において、売主がその売却した権利を取得して買主に移転することができないときは、買主は、契約の解除をすることができる。この場合において、契約の時においてその権利が売主に属しないことを知っていたときは、損害賠償の請求をすることができない。
悪意の買主が損害賠償をできる場合があります。それは、他人の権利を移転できないことについて、売主に帰責事由がある場合です。その場合の損害賠償は、「民法415条」に基づきます。
(債務不履行による損害賠償)
第415条
債務者がその債務の本旨に従った履行をしないときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。債務者の責めに帰すべき事由によって履行をすることができなくなったときも、同様とする。
上記場合は、悪意の買主でも損害賠償ができる、というわけです。民法の場合、その権利がどの条文から生じているものなのかを一緒に覚えるのが、結局は近道ですね。