所有権の保存登記のひとつ、不動産登記法74条2項は、区分建物の保存登記について、表題部所有者から所有権を取得した者も、保存登記ができると規定しています。そただしこの区分建物が、敷地権付き区分建物である場合に必要なものがあります。当該敷地の登記名義人の承諾書なるものです。あまり聞き慣れない言葉ですが、これは何でしょう?
不動産登記法73条1項より、区分建物については、建物の登記記録に記録された登記は敷地権にもその効力がおよぶため、実質的に敷地権は、表題部所有者(通常はマンションの建設会社など)から購入者に「移転」します。つまり法74条2項申請は、建物の「保存」と敷地権の「移転」のミックス申請なのです。(とはいえ、登記の目的はあくまで「所有権保存」です)
そう考えると、一見異色に見えるこの登記。申請が単独の保存申請であるにも関わらず、登記原因(日付)を要したり、「登記原因証明情報」や「承諾を証する情報」など、所有権移転等の共同申請の際の常連が名を連ねているのも納得できます。登録免許税の税率が、建物と土地で異なるのも、建物は保存登記の4/1000、土地は移転登記の20/1000となるのもすんなり頭に入ります。
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