根抵当権の元本確定事由と前後にできること・できないこと

根抵当権の元本確定事由と前後にできること・できないこと

司法書士試験では合否を決するとも言える根抵当権。色々ごちゃごちゃ考える前にまずは基本をしっかり押さえたい。下記については、完璧に頭に入れていないと常に頭が混乱します。
(1)元本の確定事由とその時期
(2)元本確定の前後で何ができて、何ができないか

元本確定事由

元本確定事由は、民法398条に記載されているのですが、この条文は非常に分量が多く、確定事由だけがまとまって記載されているわけではないので、自分でまとめておかないとわかりにくい。

元本確定事由確定時期関連条文
確定期日を定めた場合確定期日の到来民法398条の6
根抵当権者または債務者に相続が開始、相続開始後6ヶ月以内に指定根抵当権者または指定債務者の合意の登記をしなかったとき相続開始の時民法398条の8
根抵当権者または債務者に合併または会社分割があり、根抵当権設定者が元本確定請求をしたとき合併または会社分割のとき民法398条の9・10
確定期日の設定がない場合に、設定から3年を経過後、根抵当権設定者が元本確定請求をしたとき請求から2週間を経過後民法398条の19第1項
確定期日の設定がない場合に、根抵当権者が元本確定請求をしたとき請求の時民法398条の19第2項
根抵当権者が抵当不動産につき競売、担保不動産収益執行、物上代位による差押の申立てをしたとき申立てのとき民法398条の20第1項1号
根抵当権者が抵当不動産に対し滞納処分による差押えをしたとき差押えのとき民法398条の20第1項2号
抵当不動産に対する競売手続きの開始、滞納処分による差押えがあったことを根抵当権者が知ったとき根抵当権者が競売手続きの開始等を知ったときから2週間を経過したとき民法398条の20第1項3号
債務者または根抵当権設定者が破産手続開始の決定を受けたとき破産手続開始決定のとき民法398条の20第1項4号

上記を覚えておくのにいくつかキーになる事項があると思いました。上記が思い出しやすくなるというのかな。
②合意の登記を6ヶ月以内にしなかった時、ということは根抵当権者・債務者の死亡は、原則元本確定事由であることを意味しています。
②と異なり、③の合併・会社分割については、原則元本は確定しません。会社なら取引は継続される可能性が高いからです。そのために、根抵当権者側からの確定請求の制度を用意した、という流れです。
④⑤については、確定期日の定めがある場合はできないということです。

元本確定前後を問わずできること

①根抵当権の極度額の変更
②根抵当権の転抵当(その根抵当権を他の債務の担保とすること)
③順位変更

元本確定前のみできること

①根抵当権の債権の範囲の変更
②債務者の変更
③優先の定めの設定・変更
④確定期日の定めの設定・変更
⑤根抵当権の全部譲渡・一部譲渡・分割譲渡
⑥根抵当権の共有者の一人の権利の全部譲渡
⑦共同根抵当権追加設定

元本確定後のみできること

①被担保債権の債権譲渡や代位弁済による根抵当権の移転
②極度額減額請求による極度額の変更
③根抵当権消滅請求による抹消
④順位譲渡・順位放棄・譲渡・放棄(順位譲渡・順位放棄を受けることは確定前でも可能)

手書きの方が覚えやすいので、なんでも手書きしてみます。9つの元本確定事由です。