不動産登記の超基本的な考え方

不動産登記の超基本的な考え方

勉強を続けるうちに、枝葉末節の問題ばかりを覚えて、肝心な「根本的思想」が身につかない私です。が、この根本思想を叩き込む=ナチュラルに言葉にできる、ということはどんな「学び」にも絶対的に大切なことなのです、とわかっているので、超基本のおさらい。

登記識別情報

【基本】登記権利者と登記義務者が共同して権利に関する登記の申請をするときに提供を要する

正当な理由(不動産登記事務取扱手続準則42条1項に記載があれば提供は不要
平成17年3月7日(新不動産登記法施行)以前は登記済証です

ここで、納得してしまえるかというと、ちょっと気持ち悪いので不動産登記事務取扱手続準則42条1項を参照します。不通知・失効の申出による失効・失念・提供によって登記識別情報の管理に支障が生じる場合・提供により当該申請にかかる不動産取引が円滑にできないおそれがある場合、の5つです。

【基本】登記識別情報が通知されるのは、申請人自ら登記名義人となる場合

つまり、登記名義人と申請人が異なる場合は、通知はされないわけです。共同相続人の一人が、共同相続人全員のために所有権移転登記を単独申請した場合、申請人以外には、登記識別情報は通知されなません。

【基本】登記識別情報は、登記義務者と登記権利者が共同して権利の登記をする際に提供を要する

印鑑証明書

【基本】添付情報を書面により提供する場合(データで提供するときは、電子署名)で、所有権の登記名義人登記義務者となるとき。

印鑑証明書も登記識別情報も本人確認のために添付するものなので、登記識別情報と印鑑証明をセットにする場合は「より厳密な本人確認を要する」ということです。そのため所有権以外の権利の場合は、登記識別情報のみで良いのが原則です。だからこそ、登記識別情報が提供できない場合には、権利以外の登記でも印鑑証明書の添付が必要になります。

印鑑証明書には「要不要」以外に「誰の印鑑証明書」が必要かという問題があります。印鑑証明書は所有権の登記名義人に、登記義務者としての申請意思の確認ですので、司法書士に申請を委任する=委任状を書く人の印鑑証明を要します。ここだけ聞いてもピンとこないのですが、未成年の法定代理人として親権者が申請する場合、委任状を書くのは親権者ですので、親権者の印鑑証明書が必要になるわけです。

登記名義人

【基本】登記名義人とは、登記簿上の権利主体のことを指す

もっとわかりやすく書くと、所有権なら所有者、抵当権なら抵当権者が登記名義人でし。
これで迷いやすいのが売買契約締結後、登記前に売主Aが死亡したようなケースです。登記簿上の権利主体なので、死んでしまったAが登記名義人です。そして登記義務者は、登記名義人に限られますので、死んでいてもAが登記義務者なのです。

住所証明情報

【基本】所有権の保存・所有権の移転では常に住所を証する情報を提供する

なぜわざわざ「常に」と書いたかと言いますと、次のケースでは、初めて所有権(持分)を取得する者だけ住所証明情報が必要だからです。

【基本】所有権の更正登記において初めて所有権(持分)を取得する者

保存と移転では常に必要とされますので、共有者の持分を他の共有者に移転するよう場合でも、もともと所有権を持っていた共有者(はじめて、ではない)でも住所証明情報を要します。