代理権の消滅事由という問題があります。これだけなら至って簡単です。条文そのままなので。

第111条
代理権は、次に掲げる事由によって消滅する。
一  本人の死亡
二  代理人の死亡又は代理人が破産手続開始決定若しくは後見開始の審判を受けたこと。
② 委任による代理権は、前項各号に掲げる事由のほか、委任の終了によって消滅する。

ここだけ読むと、破産手続開始決定と後見開始は本人については消滅事由に当たりません。が問題は、2項の『委任による代理権』です。この場合は「委任の終了」によって代理権が消滅します。そこで、委任の終了事由を確認します。

第653条
委任は、次に掲げる事由によって終了する。
一  委任者又は受任者の死亡
二  委任者又は受任者が破産手続開始の決定を受けたこと。
三  受任者が後見開始の審判を受けたこと。

ということは、委任による代理のケースでは、破産手続開始決定は双方どちらも終了事由にあたるため、代理権が消滅します。後見開始については、受任者のみです。ですから、委任の終了事由を尋ねる問題にあたった場合は、委任によるかどうかを注意する必要があるということですね。

また、素直に代理権の消滅という言葉が使われない場合もあります。「遠回りな聞き方」というやつです。

甲が乙の代理人として乙の所有の不動産を第三者に売却することとする旨の契約が甲乙間においてされた場合に関する次の記述中,誤っているものはどれか。
肢4 甲の相続人は,相続の放棄をしなくても,乙の代理人たる地位を承継しない。
(昭和59年第3問)

答えは「○」です。私などは、この問題を読むと一瞬「何を聞きたいの?」と思ったりしますが、要するに「代理人が死亡した場合、代理権はどうなるか」と聞いているわけです。こういう遠回りな質問を、瞬時に読み替え出来るようになると、問題を解くスピードがアップするんだろうな。

因みに、会社と取締役は委任関係にあるため、任期中の取締役が破産手続の開始決定を受けると「委任の終了」により退任することになりますが、「破産手続開始決定を受け、復権していない者」は取締役の欠格事由ではないので、改めて選任することは出来ます。なんかややこしいなと思いますが、経営破綻した経営者の再チャレンジをしやすく、ってことですかね。