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モブ最高100(モブサイコ100)

2023.02.24
 

何の前知識もなく、ある日突然出逢う作品というのが、時々ある。文学でも漫画でも映画でも、熱心に追いかけてしまうとどうしても前評判が耳に入るが、社会人になってこの方、そこのところを追いかける時間がなくなった。疎くなったと言えばそれまでだが、それと引き換えに「偶然出会う」喜びを味わえるようになった。私にとっては、ある日書店の平台で発見した山本直樹の『世界最後の日々』や、カズオ・イシグロの『私を離さないで』やしりあがり寿の『エレキな春』が、その出逢いだったのだが、最近久々に出逢った。AmazonPrimeで。アニメ『モブサイコ100』に。

私は特に漫画ファンでもアニメファンでもないから、作品の知識はゼロだった。うっかりシーズン3から見てしまい、最初の1〜2話は、面白いかどうかもよく分からず、仕事の傍ら流し見していたのだが。サイコヘルメット教あたりから「んん?」と思い、「いい話じゃないか」と思い、6話を見たところでうっかり最初をふっ飛ばしたことに気がついて、シーズン1に戻って一気に見直した。そしてすごく感動した。(なんともありきたりな表現だけど)最後まで見るのが勿体ないほどに。

だいたい私は、ドラマでも漫画でも「凡人」のキャラが好きなのだ。ドラマ『医龍』でも、自分の凡人ぶりに悩む小池徹平の役が好きだった。だって私は凡人だから。凡人の生きる道を見せてくれると単純に嬉しい。いやモブは凡人ではなく強力な超能力者だ。では、誰?そう、REIGENさんである。彼は特殊な能力に憧れ、何者かに憧れ、でも特殊な能力を一切持っていない。(特殊能力を持たないことを除けば彼は大変頭のキレる男であるけれども)彼の言葉は、時に正しく奇妙なほど説得力があり、能力者たちを助けることさえある。方や特殊能力の塊であるモブは、筋肉を鍛え、優秀な弟に憧れ、REIGENを師匠と呼ぶ。この奇妙なバランス、すべのキャラが抱えるそれぞれの苦悩がまさに「青春」。

シーズン2 第7話『追い込み ~正体~』(漫画では72話)の記者会見でのREIGENさんなんて、涙なしには見られないのが、擦れた大人の私なのだ。

最終シーズン、制御の効かなくなったモブに駆け寄ったREIGENさんを見て「やっぱ最後はREIGENしかいねーよな」と思い、REIGENさんの発した言葉で、タイトルの『告白』はモブの告白というより、REIGENさんの告白のことだったか、と感じた瞬間鳥肌が立ったよ。あー、この物語はモブの物語であると同時にREIGENさんの物語だったんだな。一筆書きのようなモブの無表情な絵柄の意味(この部分はアニメのほうが分かりやすく描かれている)や、最後にモブが初めて見せる「笑顔」(かつて彼は悪霊エクボが笑わせることの出来ない唯一の少年だったのだ)が押し寄せてきて、ホントいい作品に出逢ったぜ、ありがとうAmazon Primeと心底思った。ボンズのアニメも最高です。モブ最高100。

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