消毒液不足に対応しようとしたら(手指消毒篇)
ウェットティッシュはやや入手しやすくなったものの、昨今の消毒液(アルコール成分由来)の不足と高騰に際して、代替案はないものかと調べてみました。大きな前提としては、手に入りやすい物を検討すると
- 物の消毒→次亜塩素酸水
- 手指の消毒→アルコール(エタノール)
ということのようです。ですが、検索を続けると、イソプロパノール、植物性発酵エタノール、などの言葉が登場したり、希釈のパーセント、単位の意味、使用期限、希釈に用いる水は何が良いのか、どう違うのか等々の疑問が噴出したので、一通り調べてみました。
手指の消毒
まず、今一番欲しいのは、手指の消毒液ですので、こちらから。
アルコールの種類
アルコール、エタノール、エチルアルコールは全て同じもので、「エタノール」は国際化学命名法の呼び名、「エチルアルコール」は慣用名です。
製法によって原料は2種類。
原料 | |
発酵アルコール | 糖蜜やさとうきびなどの糖質と、トウモロコシ、さつまいも、じゃがいもなどのでんぷん質が原料、酵母のアルコール発酵によって造られる |
合成アルコール | 天然資源のエチレンガスをが原料、化学合成によって造られる |
つまり植物性発酵アルコールは「発酵アルコール」の分類か。この2つの消毒効果の違いについては、今のところ信憑性の高そうな情報がありませんが、薬局方アルコールは発酵アルコールとのこと。
出典
https://www.chubu.meti.go.jp/c12alco/alcohol.html
http://www.j-alco.com/alcohol/
濃度について、ちょっと見慣れないvol%と書かれていますが、これは体積で考えたときの濃度ということだそうです。濃度を話題にする場合は、重さで考えたときの濃度(wt%)が一般的なので、これは単に「%」を書かれるとのこと。
出典
https://mathwords.net/wtpercent
エタノールとイソプロパノール
プロパノールもアルコールの一種。エタノールの2
効力 | イソプロパノールは、エタノールの2倍の効力があるが、エタノールより毒性が強い。ノロウィルスなど一部のウイルスには殺菌作用は期待できない。 |
適性 | イソプロパノールの方が手が荒れやい(脱脂等による皮膚荒れ) |
価格 | イソプロパノールの方が安価 |
安全性 | エタノールの方が安全性が高い |
希釈濃度 | エタノール:80%前後 イソプロパノール:50〜60% |
アルコールは揮発性がたかいので、希釈しないと十分に殺菌できないうちに気化してしまうということですね。
出典
https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00056889
https://www.kenei-pharm.com/medical/countermeasure/faq/b06.php
希釈に用いる水
有名なところは精製水ですが、水道水でも可能です。水道水で希釈した場合は、早めに使用するとありますが、厳密にどのくらいの使用期限かはあまりはっきり書かれている資料がありませんでした。
常水 | 水道水 |
精製水 | 常水をイオン交換、蒸留、逆浸透または限外ろ過などで作ったイオン分子をほとんど含まない純水 |
蒸留水 | 水道水を加熱沸騰させて気化させたものを冷却して液体に戻した純水 |
元々格安だった医療用の日本薬局方精製水が高騰している(ネットで、近所には在庫なし)一方で、工業用などの大容量のものはネットなら比較的低価格で手に入れることが可能です。医療用と工業用の違いは、工業用ではわずかにミネラルや細菌が残存する、ということ。化粧水を作るには気になるかもしれませんが、手指なら工業用でもいいのではないかと思いました。コンタクトレンズ用精製水も良いと思われます。
開封後の精製水は殺菌力がないので微生物が増殖する可能性があり1週間程度で使い切るように、とのこと。エタノールとませたものは殺菌力がありますが、精製水自体の使用期限は短いので注意。
出典
https://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000175606.html
https://www.pmda.go.jp/rs-std-jp/standards-development/jp/0016.html
https://www.organo.co.jp/purewater/
https://www.seiseisui.com/chiebukuro/use/sterilization/#i-6
https://general.kenei-pharm.com/faq/purified-water/
使用する容器
アルコールをいれる場合は、アルコールに対応した容器を使うことが大切です。アルコールに弱い物や、溶けてしまうものは使えません。またエタノールは揮発性が高いので、容器の密閉度の高いものが良いです。
アロマ関連のガラス容器や香水のアトマイザーは身近にある使いやすい容器でしょうか。プラスチックは素材によります。
対応可能なプラスチック容器
- ポリエチレン(PE)
- ポリプロピレン(PP)
- 塩化ビニル樹脂(PVC)
このあたりの製品は、モノタロウなどが探しやすい。(一番便利そうな容器は流石に欠品中ですが)ただし80%程度に薄めた状態で入れることが条件の容器が多いので、原液をいれる場合は注意。
https://www.monotaro.com/k/store/%83G%83%5E%83m%81%5B%83%8B%97e%8A%ED/
出典
https://www.kenei-pharm.com/medical/countermeasure/faq/a01.php